お知らせ

第14回のSKIMレクチャーを以下の要領で開催します.

 

第14回 2024年9月15日(日):13:00〜14:00

半沢英一氏「邪馬台国問題への中国古代数理科学という視点」


講演はZoomを用いて行います。受講料無料でどなたでも参加出来ますが、事前登録が必要です。募集人員は
150名(先着順)です。
参加をご希望の方は以下から登録ください。
申込締切:2024年9月12日(木)

SKIMレクチャーズ第14回申込ページ(Google Form)
皆様のご参加をお待ちしております.

 

概要:

邪馬台国問題の対象である魏志倭人伝行路記事は、当時の里単位に比べ5分の1という異常に短い里単位が使われていること、里単位で記されていた行路が突如日程で、しかも「水行二十日」「水行十日陸行一月」という日本列島に収まるとは思われない記述に変わることなど非常に不可解なものである。

行路記事原文は実際に日本列島を訪問した魏使の王朝への報告文と考えら、したがって高い整合性が期待される。それにも関わらず邪馬台国問題への膨大な研究史はその不可解さを克服することなく、むしろそれを奇貨として恣意的な想像論を重ねてきた。

そもそも魏使は海峡の距離、対馬や壱岐など島の大きさを測量しつつ邪馬台国を訪れているので、行路記事の解釈には『史記』『漢書』などの史書ではなく、『周髀算経』『九章算術』など同時代の数理科学書が典拠として検討されねばならなかった。それと同時に『三国志』などで魏王朝における度量衡制度の変遷状況を調べねばならなかった。

半沢はその視点のもとに、短い里単位は『周髀算経』の「一寸千里説」から導出されたこと、『九章算術』劉徽序文や付録「海島算経」にその状況証拠があること、行路記事は『九章算術』の語法、特にそこでのゼロ概念「無入」によって記され高度の合理性を持つと主張した。その結果と考古学を考え合わせ、邪馬台国は筑後川上流域にあった北部九州弥生終末期共同体の連合王権で、後に大和で成立した前方後円墳王権に併呑されたとも見ている。

参照文献

半沢英一「倭人伝の短里と中国古代天文学」、横田健一編『日本書紀研究 第二十二冊』塙書房1999

半沢英一『邪馬台国の数学と歴史学』ビレッジプレス2011