研究所ニュース
2012年度「3.14...数学文化シンポジウム」を開催しました(報告,小川束)
3月16日から17日にかけて「3.14...数学文化シンポジウム」が開催されました.
今回は「関孝和の数学の世界」として,関孝和に関連する話題を中心に議論が展開されました.
16日は小川束による簡単な関孝和の紹介のあと,まず小林龍彦先生が「近世暦算書の出版と価格」について発表されました.『発微算法』を刊行した本屋嘉兵衛ついては関心の集まるところで,いろいろな議論がありました.また,史料として種々の『書籍目録』から関係書をまとめた詳細な一覧表が配布されました.これは別途『和算研究所紀要』に掲載されるとのことです.続いて長田直樹先生が「関孝和編の写本について」発表されました.関には「◯◯之法」と題された一群の写本群があり,これらの年紀を丹念に調べた上で,年紀のないものをその内容から適当と思われる時期に位置づけるという意欲的な内容でした.歴史家の小林先生と数学者の長田先生の発表を聞いていると,「史料に基づき歴史を再構成」するとはどういうことか,数学史の方法論についてもいろいろ考えさせられました.
17日は前日の長田先生の発表の続きの後,森本光生先生が「『大成算経』における方程式論の基盤」と題して,算木表現の現代表記の様式について発表されました.これまでは「天元の一」を未知数として現代表記されるのが普通でしたが,それでよいのかという話題です.
今回はプログラムに時刻を入れず,自由な雰囲気で進めたので,活発な議論が展開されました.普通は講演時刻が決まっていて,時刻が迫ってくると質問や議論などが十分に尽されないで終わってしまいます.今回のようにプログラムに時刻がないと,十分に議論することはできますが,途中で議論が起こるので,発表される方は最初にイメージしたした通りに発表して行くのがむずかしくなります.
最後になりましたが,専門的な水準のシンポジウムにも関わらず,熱心に聞いてくださった一般の方々に感謝いたします.
今回はプログラムに時刻を入れず,自由な雰囲気で進めたので,活発な議論が展開されました.普通は講演時刻が決まっていて,時刻が迫ってくると質問や議論などが十分に尽されないで終わってしまいます.今回のようにプログラムに時刻がないと,十分に議論することはできますが,途中で議論が起こるので,発表される方は最初にイメージしたした通りに発表して行くのがむずかしくなります.
最後になりましたが,専門的な水準のシンポジウムにも関わらず,熱心に聞いてくださった一般の方々に感謝いたします.
(小川束)
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