2010年3月の記事一覧
国際基督教大学(東京都三鷹市)で和算の公開講座
皆さま、
4月13日から毎週火曜日の午前10時より12時まで、東京の三鷹市にある国際基督教大学で、「和算」についての講義を10回行います。申し込みに締め切りは4月6日と間近ですが、御関心のある方はどなたでも歓迎します。
詳しくは、国際基督教大学のホームページの下の「生涯学習」をご覧ください。
http://www.icu.ac.jp/
森本光生
国際基督教大学 生涯学習 2010年春期
1.題目:江戸時代の日本の数学 和算
2.講義内容:和算とは江戸時代の日本で発展した数学である。1627年に刊行された吉田光由の『塵劫記』は、寺子屋の算術教科書として大成功をおさめ、明治時代に至るまで、300種類以上の『塵劫記』が出版された。これは、小学校レベルの算数であり、珠算などの内容は、中国明代の程大位著『算法統宗』によって日本に伝わった。また16世紀末には、変数を用いる中学レベルの代数学と同等の数学技法が、中国元代の朱世傑著『算学啓蒙』により日本に伝わった。これら中国数学の伝統に基づき、鎖国という状況の中で、和算は目覚ましい成果を挙げるのである。例えば、関孝和の行列式の理論、建部賢弘の42桁もの円周率の計算方法などは、当時の世界の数学の中で突出していた。
今回の講座では、江戸初期の和算書を紹介してみたいと思う。『割算書』(毛利重能)、『塵劫記』(吉田光由)、『竪亥録』(今井知商)、『算爼』(村松茂清)、『研幾算法』(建部賢弘)、『算学啓蒙』(朱世傑)、『発微算法』(関孝和)、『括要算法』(関孝和)、『綴術算経』(建部賢弘)、『大成算経』(関孝和、建部賢明、建部賢弘)などの書物を概観してみよう。
書物の多くは、写本、刊本などの形で、江戸時代から今日に伝わっている。そこで書物の一部をコピーして眺め、読んでみたいと思う。このような作業を通じて、和算が江戸の文化史の一環であることを見てみたい。数学の歴史であるから、数学の予備知識も必要であるが、高等学校までの数学の知識で十分である。
3.期間、時間、場所
期間:2010年4月13日?6月22日(毎週火曜日、全10回)
(4月13日、20日、27日、5月11日、18日、25日、
6月1日、8日、15日、22日。5月4日は休講)
時間:10?12時
場所:国際基督教大学 本部棟206号室
4.参考文献(最近出版されたもの)
佐藤健一監修:『和算の辞典』、朝倉書店、2009年
(ごく最近出版された辞典で、和算のことならなんでも書いてあり便利である。)
小川束・佐藤健一・竹之内脩・森本光生著:『建部賢弘の数学』、共立出版、2008年
(講師も分担執筆した建部賢弘の生涯、数学業績などが記されている。)
佐藤健一・真島秀行編:『関孝和の人と業績』、研成社、2008年
(2008年は関孝和の没後300年で、それを記念した出版物の一つで、関孝和と彼の数学の紹介、最近の研究動向などが、講師を含む20名の研究者によって記されている。)
5.講師紹介
森本光生(もりもとみつお)
1942年に東京に生まれる。
東京大学理学部数学科卒業、東京大学(1966?1972)、上智大学(1972-1998)を経て、1998年より国際基督教大学理学科数学教授、2004年4月より学務副学長。2008年3月に国際基督教大学を退職。
現在は、上智大学名誉教授、四日市大学関孝和数学研究所副所長。
専門は、数学(関数解析学)であるが、長年、和算を含む東アジア数学史に興味を持つ。最近は、もっぱら和算に関する論文を書いている。
6.その他(詳しくは、ホームページを参照のこと)
募集人数:約40名(先着順)
受講料:20,000円(全10回分一括納入)
申し込み期限:4月6日(火)
連絡先:国際基督教大学 社会サービス担当
〒181-8585 東京都三鷹市大沢3?10?2
電話:0422?33?3013(直)
E-mail:s-service@icu.ac.jp